日本は世界で一番ウニを消費している国で、日本人ほどウニ好きな民族は他におりません。
国内で食用に水揚げされるウニはバフンウニ、ムラサキウニ、エゾバフンウニ、 キタムラサキウニなどが中心で、なおかつ日本国内の生産では消費をまかないきれず、世界各地からウニを輸入しています(世界のウニ漁)。
日本人が食べているウニの、なんと9割は輸入ものなのですが、一方でウニの養殖に関しても、世界一の技術を持っています。 とことん、日本人はウニが好きなのです。
※ 当店で取り扱うウニは、すべて天然です。 ウニの輸入先には、北米、チリ、ロシアなどがあります。
日本の海に生息するウニのうち、食用となるのはエゾバフンウニ、キタムラサキウニ、バフンウニ、ムラサキウニ、 アカウニ、シラヒゲウニの6種類です。
私たちが食べている部分は、生殖巣です。 ウニは雌雄異体であり、雌の場合は卵巣を、雄の場合は精巣を食べていることになります(雌雄の判別は顕微鏡を使わないとわかりません)。
生殖巣は葡萄の房みたいに小さな粒が集まった形をしています。 その粒が卵のようにも見えますが、それは生殖小嚢という組織であり、この袋の中に、直径0.1ミリの卵や精子が入っています。
※ ウニがどんなに大きくても、ひとつの殻には5粒の生殖巣しか入っていません。
※ 生殖巣:発生初期に始原生殖細胞を受け取って増殖させ、生殖細胞に分化させる器官。 卵巣および精巣のこと。
※ ウニの生殖巣の色は、カロテロイド色素によるものです。 色の濃いウニは味も濃くなります。
※ エゾバフンウニでは成熟が進んだものは雌雄の判別が可能です。 雄は白っぽく、メスは赤みがかった精巣をしています。
雲丹(うに)は棘皮(きょくひ)動物に属す、ヒトデやなまこの仲間です。 石灰質の骨板が、ピタリとくっつきあって造られた球状の固い殻を持ち、内部は体液で満たされています。 そしてその中に消化管と生殖巣があります。
口は、殻が海底に接する面にあり、肛門はその反対側、すなわち背面にあります。 長短さまざまの棘(とげ)を持ち、 その間にある吸盤状の管足(かんそく)を使って動きます。
棘の間には、ヤットコハサミの形をした叉棘(さきょく)があり、体の掃除や身を守る為に使われます。
※棘皮動物:我々脊椎動物と近い類縁関係の動物です。 棘皮動物門には5つの網(仲間)が含まれます。 ウニ鋼、ナマコ網、クモヒトデ網、ヒトデ網、ウミユリ網。 棘皮は「トゲの皮」という意味で、皮膚がトゲ状になっているので棘皮動物とよばれます。 棘皮動物最大の特徴として、五放射相称が挙げられます。
身を守るためです。 また、歩いたり、体を固定するのにも使います。 ちなみに、ウニの殻もトゲも炭酸カルシウムで作られています。
世界に約900種が生息しており、日本近海では約140種が知られています(色々なウニ)。
海底におりますが、中には砂泥に潜っているものもおります。 ムラサキウニは浅いところに、アカウニは深い場所に生息します。 ちなみにこれまでに見つかった、 最も深い場所に生息していたウニは、水深7340メートルで発見されました。
※淡水域にはいません。
生殖活動ができるようになることが大人だとすると、北海道のエゾバフンウニで二年です。 しかし、餌を沢山与えて飼育すればその半分で大人になります。
また、ウニの種類、環境により要する時間は大きく異なります。
北アメリカ太平洋岸に生息している「アメリカオオムラサキウニ」という大型のウニは、100年以上生きるといわれています。 日本のウニではバフンウニの寿命は7〜8年、キタムラサキウニの寿命は14〜15年程度といわれています。
「海胆、海栗」は、生の状態を示し、「雲丹」は、塩漬けされたものを指します。 雲丹の「雲」とは「集まる」 ことを意味し、「丹」は「赤い」という意味です。
どうしてウニを「ウニ」と呼ぶようになったのかはよくわかっていません。 8世紀に書かれた『出雲風土記』には「ウニ」や「カセ(ガゼ)」という呼び名が出てきます。 ですからそれ以前からウニは「ウニ」という呼び名だったと考えられます。 古くは海丹とも書かれたそうです。
ちなみにウニは英語でsea urchinと呼び、直訳すると「海のいたずらっ子」となります。 さらに「粒雲丹」は「grayny seaurchin roe」と言います。
フランスでは「針ねずみ」「海の熊」と呼んだりします。 かのダーウィンはシー・エッグと表現しました。
よくウニやナマコを「一番はじめに食べた人はすごい!」と言いますが、日本人がウニを食べるようになったのは、いつ頃からなのでしょうか? 実は有史以来から食料にしてきたそうで、記録に残っている一番古いものは西暦713年に出された「風土記」です。
日本国外では、ポンペイの遺跡からウニの殻が出土したことから、かれこれ2500年以上前からウニは食べられていた、とされております。
可食部の成分は、100g中、カロリーが148kcalで、ビタミンAが1200IUとかなり多く含まれています。 このことからウニは、皮膚の粘膜を正常に保つ役割やシミ、ソバカスの予防、がん予防にまで効果があることになります。 ウニはただおいしいだけではなく、栄養面でも優れているといえます。
ウニは段階的に姿を変えて成長するので、生命を実感できる教材として教育に用いられることもよくあります。
うにの受精卵はまず、外形がプリズム形のプリズム幼生になります。 続いて体から腕が伸び、プルテウス幼生へ変わります。 次に伸びた腕が裏返るように変態し、稚ウニに変わります。
ウニが研究材料として使われやすいのは、まず捕まえやすい事。 そして精子も卵子も海に放出されて体外受精するため、観察しやすい事。 卵は透明で、中で起こっている事がわかりやすい事。 胚の構造も単純な事などが挙げられます。
熊本県立済々黌高等学校生物部(満永 爽太さん代表)が、この度ウニの移動方向の基本は多孔板の位置で決まっている事をつきとめました(2022/11/6追記)。
成分 | 含有量 |
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エネルギー | 148kcal |
水分 | 71.5g |
たんぱく質 | 15.8g |
脂質 | 8.5g |
コレステロール | 290mg |
炭水化物、糖質 | 2.0g |
ビタミンA | 1200IU |
カリウム | 490mg |
ビタミンE | 3.6mg |
ビタミンAが豊富に含まれておりますので、美肌効果が期待できます。
※ このページを作るにあたり、本川 達雄氏 編著 『ウニ学』(東海大学出版会)を大いに参考にさせていただきました、誠に有難うございました。 尚記載表現に一部誤りがございました事を、山田様よりご指摘いただき、訂正させていただきました。 重ねてお礼申し上げます(2015/06/21)。