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生うにのできるまで

丁寧な仕事が身上です

漁場へ向かう

朝日がのぼる前、漁師たちは船に乗り込み、ウニ漁に向かいます。

各漁師は、長年の経験により自分だけの秘密のポイントをもっています。  同じ海域でも潮の流れが良く、餌の豊富な場所の雲丹(うに)は身が厚く、味も良いのです。

上質なウニを採る

目当ての漁場に着いたら、ハコメガネとカギ竿をたくみに操り、ウニを海底から探し出し、 船の上に引き揚げます。 漁の時期、時間、海域は厳密に定められており、違反すると密漁となり罰せられます。

近年、密漁が盛んにおこなわれており、真面目に漁をしている漁師たちは頭を悩ませています。

漁法は、ハコメガネとカギ竿をつかうかけ獲りのほかにも、ウエットスーツを着込んで海女が海底15、6メートルまで素もぐりし、 手づかみでウニを獲ってくる素潜り漁法などもあります。 ウニの種類や海底の地形、海流、その地方の伝統により、 「どのようにウニを獲るか」が変わってくるのです。

ウニを水揚げする

定められた時間までウニを獲った漁師さんは港に戻ります。 かごには無数のウニが入れられており、トゲがウネウネと動きます。

天候にもよりますが、日によっては数百キロのウニが水揚げされることもあります。  逆に小雨が降っていたり、波がうねっていたりすると、漁にでてもほとんど海栗(うに)を獲ることができない場合もあります。

ウニを割る

ウニパックンで雲丹殻を1個ずつ割っていきます 。 海胆の口の部分にうにぱっくんをあわせ、一気に半分に割ります。   まっすぐ半分に割らないと、あとでウニをくじる(くり取る)時にウニの身を崩してしまいます。  作業は迅速丁寧を心がけます。

非常に単純で地味な作業ですが、急ぎすぎるとウニ殻が半分に割れなかったり、 一日に数百キロのウニを1個ずつ割っていくわけですから大変な労力が必要になります。  しかも、新鮮なうちに作業をしなければならないので、 ゆっくりウニ殻を割っている暇もありません。 非常に忍耐力を要します。

このウニ割り作業から商品のパック詰めまでは、水揚されたその日のうちに全工程を終えてしまわなければなりません。

不純物を除く

殻を半分に割ると、中には身の他に不純物(ウニが食べた海草のカスや粘膜等)が詰まっているので、 それらを丁寧に取り除きます。 少しでも残るとウニの風味を損なったり、身崩れの原因となるので入念に行います。

ウニの身をくじり取る

ウニくじりで身を取り出します。 殻のカーブに沿うよう、丁寧かつ素早く、えぐるようにとりだします。  この作業は大変熟練を要するので熟練の職人が作業にあたります。

ムラサキウニの身は小さくて脆いので取り出しづらく、アカウニは身が大きく、しっかりとしているので身を取り出しやすいものです。

ウニを洗う

丁寧に取り出した身を、よく冷やした海水で洗います。 海水はそのウニが採れた海域のものを使用します。  これはウニの身にかかるダメージを最小限に抑えるための処置です。

海水で洗いながら、不純物が残っていないかの最終確認を行い、竹橋をピンセットのように精密に扱いながら、 不純物があれば取り除きます。 この作業も、手早く行うことが基本です。

ウニを海水に漬けてしばらくすると、海水がウニの身のような橙色に染まります。 ということは、ウニの養分が海水に溶け出しているということです。  これではせっかくのウニの旨みがもったいないので、小林商店では海水漬けでの生うにの販売は行なわないことにしています。

※ウニの身は真水がつくと、身が溶けて風味も落ちてしまいます。 よって雨天時はできるだけウニ漁は行われません。

ウニの水切りをする

綺麗になったウニの身を、さらしに広げてしばらく水切りをします。 前の工程の「洗い」と、 この「ウニの水切り」は、ウニの目方(重量)を著しく落とします。 よって、業者の中には洗いと水切りを十分せずに、そのまま容器詰めをしているところもあります。

すると目方も減らずに売り手は都合良いのですが、ドリップが大量に出たり、殻が混入していたりして、風味を落とす事につながります。

小林さんの生うには水切りがいいね。」と、料理人の方にお褒めいただくことがよくあります。  小林商店では水切りをしっかり行い、無添加だけれど日持ちがし、風味の豊かなウニを作ることに集中しております。  美味しい商品を作るには秘訣などありません。 時間をかけて、丁寧な作業をすることが最重要だと考えます。

ウニを詰める

よく水切りされた身は、竹箸で一粒ずつ丁寧に容器に詰められます。 魚屋や市場でよく見かける「板に並べられた折箱入りの商品」は、 見栄えはしますが、残念ながら大事なウニの身に、木の匂いをくっきり移してしまいます。 よって小林商店では無色無臭のPET容器か、ガラスの瓶に詰めます。

長崎のウニは身が小さめで、ミョウバンを使用したウニほど見栄えはしませんが、風味豊かな商品ができあがります。